訪問看護における「オンコール」とは?その実情や経験談を現場の看護師が語る

訪問看護における「オンコール」とは?その実情や経験談を現場の看護師が語る

一般的に二交代や三交代制で勤務することの多い看護師ですが、訪問看護の現場では日勤のほかに「オンコール」の対応が必要になるケースがあります。病棟勤務の看護師にとってはあまり馴染みのないオンコールですが、「万が一の緊急時にただちに出勤し、適切な医療サービスを提供する」「急変時にすばやく対応し、重症化を防ぐ」といった観点で非常に重要な意味を持つものです。

しかし、“24時間・365日体制”という特性上、オンコール未経験の看護師のなかには「休日も気が休まらないのでは?」「自分ひとりで判断しなければならないのでは?」といった漠然とした不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、実際に訪問看護の現場で働く看護師にインタビュー。ソフィアメディでのオンコール対応について、これまでのご経歴や印象深いエピソードを交えながらたっぷりうかがいました。オンコールは過酷? 忙しい? ストレス……? 本インタビューで見えたのはそんなイメージを変える、訪問看護の現場の工夫と魅力でした。

オンコールとは

「オンコール」はその名のとおり、緊急時にすぐにお客様の元へ駆けつけられるよう、看護師が待機する制度のこと。オンコール対応が必要になるのは夜間・早朝や土日祝日が一般的で、オンコール担当の看護師は訪問先から緊急の連絡が来た場合にすぐに出勤できるよう備えておかなければなりません。単身者や高齢者が増加するなかで、特別養護老人ホームをはじめとする介護施設や訪問看護ステーションなどで広く取り入れています。

お客様やご家族からのニーズが高まる一方で、問題視されているのが24時間・365日体制による現場スタッフへの負担……。勤務するステーションによっては十分なフォロー体制が整っておらず、実際にオンコールの負担や不安感が離職原因になるケースも少なくありません。ソフィアメディではお客様第一主義を大切にしたうえで、現場スタッフの心身の負担を軽減させるためにさまざまな工夫が行われています。

ソフィアメディで実践されているオンコール負担軽減の施策

1.カンファレンスの徹底

突発的な夜間の緊急対応の負荷を減らすため、朝や夕方の申し送り時にはオンコールの可能性があるお客様について、スタッフ間で情報を共有。直近に訪問したスタッフが「○○さんですが、●時(いつ)頃に~~という症状が出ていました。夜間に▲▲になる可能性があります」と報告することで、当日オンコール当番のスタッフは急変時になにをすべきかを事前に把握できます。スタッフが連携することで突発的な対応の発生リスクを下げているのです。

2.医療機関と連携し、想定される状況に備える

万が一の急変が予想されるお客様に関しては、「お客様やご家族の不安解消」「適切な医療サービスの提供」という目的から、日中のうちに担当医への情報共有および相談が行われます。医師の判断により想定される状況に合わせて薬が複数処方されるケースも多く、その場合は適切な服用タイミングなどを丁寧にご説明したうえで、お客様にとってもっとも安らぐ場所であるご自宅でしっかりと対応する準備を整えます。

事前に医療機関と連携しておくことで、ご家族の方も「夜間に~~(症状)になったら、まず最初に●●(第一の薬)を飲ませて、改善が見られなかったら▲▲(第二の薬)を飲みます。それでも改善しなければオンコールを」といった、適切なプロセスでの対応が可能になるのです。

3.チーム制によって“一人で悩む”状況を回避

オンコールを導入している訪問看護ステーションには、緊急電話が1台体制のステーションと2台体制のステーションがあり、後者の場合には“あらかじめお客様に2台分の電話番号をお伝えし、万が一1番に通じなかったときは2番にお電話していただく”という流れがとられます。

ソフィアメディの365日稼働でチーム制がとれているステーションは、6~7人がシフト勤務をしながらオンコールを所持する「2台体制」。オンコール担当者への密な情報共有はもちろん、2番(セカンド)を設けることで、“自分ひとりで対応しなければならない”という精神的不安を解消しています。

ソフィアメディの訪問看護師に聞く「オンコール」の実情

今回インタビューしたのは、ステーション阿佐ヶ谷に勤務するH.Eさん。大学病院で4年間勤務したのち、ソフィアメディに転職し、現在3年目を迎える看護師です。

ーまずは、改めてソフィアメディでの「オンコール」について簡単に教えてください。

「オンコール」は夜間・早朝の緊急電話で、体調が普段と違う場合や転倒・発熱といった突発的なトラブルについてご家族やお客様ご本人、夜間介入されているヘルパーさんなどからお電話がかかってくるものです。オンコールの勤務体制はさまざまですが、私の勤務するステーション阿佐ヶ谷では「一日交代制」が採用されています。いくら出動の回数が少ないとはいえ休日にオンコール担当だと多少の負担は感じますし、「休日であるがゆえに、うまく情報共有や連携がとれず対応が遅れてしまう」という心配もあるため、阿佐ヶ谷ではこのような体制になっているんです。もちろんお盆や年末年始といった例外のケースもありますが、基本的にはシフト上の休日にオンコール当番になることはありません。

ーオンコール未経験の看護師の中には「毎晩かなりの数の出動依頼があるのでは……」と心配されている方も多いですが、実際のところいかがでしょうか。

そうですね、タイミングや担当するお客様によりますが、個人的には“突発的な緊急対応ってあまりないんだ!”というのが正直な感想でした。入社後にはギャップに驚きましたね、実際に、今年は3ヶ月まるっきり鳴らないときもあったくらい。お客様の心身の負担を最小限にするためにオンコールはなるべく鳴らない方がいいと思っているので、なにか異変があった場合には日中の訪問時にご家族やご本人にお声がけをしています。お客様がオンコールを鳴らさずにすむよう、事前に緻密なケアを重ねているんです。

ーオンコールへの不安や負担を軽減させるために、どのような工夫をされているのでしょうか。

日中の訪問時に体調不良やなんらかの異変を感じたお客様については、その日の夕方に体調確認を兼ねてお電話をするようにしています。「熱が●度を越えたら、△△のお薬を服用してください」「~~(症状)が出た場合にはお電話してきてください」といったように、予期せぬ事態を想定して必要な対応を伝えるんです。また、明らかにオンコールが鳴りそうな場合には、スタッフ同士で「~~(症状)でオンコールが鳴る可能性があるよ」と担当者に事前共有しておくのも重要なポイントです。スタッフ間での情報格差を防ぐことで、訪問したことのないお客様や久しぶりに訪問にうかがうお客様であっても焦ってしまう心配もありません。誰が対応することになっても同じ医療サービスを提供できるように心掛けています。

ーオンコール対応をするうえで、特に気を付けていることはありますか?

もっとも意識しているのは、「お客様本位」な対応をすること。表情が見えない分、こちらの声のトーンや伝え方によってはお客様の不安感を増長させてしまう恐れもあります。ただでさえ電話口のお客様の多くは、適切な対応が分からずパニックになっている状況です。傾聴姿勢でお客様の不安を取り除きながらも、冷静かつ適切に対応できるように意識しています。

また、早く対応することにばかり意識して「安易に答えてしまう」のも厳禁ですね。お電話が来てすぐに答えられないものに関してはカルテを読み返したり、上司に相談したりと、いったん時間をとるようにしています。

ー約3年前のはじめてのオンコール対応を振り返っていかがでしょうか?

不安で仕方なくて、かなりドキドキしていたので今でも鮮明に覚えています。オンコール未経験だった頃は、とにかくどんな質問がくるのかが分からず「恐怖」っていうイメージで。不安ばかりが先行して、初回のオンコール対応時にはすぐに先輩に相談しました。

この時は夜の21時頃に発熱を訴えるお客様からのお電話で、先輩と相談の上、緊急搬送の判断をしました。対応を終えて真っ先に頭に浮かんだのは、「オンコールでお電話をいただけてよかったな」という想いでした。オンコールがあったからこそ一刻を争う事態に適切な対応がとれましたし、結果的にお客様とご家族が安心できる環境での治療に繋がりました。

ー経験を重ねて、オンコールへの不安感は軽減されたのでしょうか。

そうですね。3年間で“数”をこなしながら色々なケースを見てきたおかげで、今ではすっかり慌てなくなりました。お客様やご家族がパニックになっている場合でも冷静に状況を判断して、安心させられる対応ができていると思います。訪問看護にまつわる“知識の引き出し”が増えてきたこともあって、どう対応すればいいのかをすぐに判断できるようになったのも大きいですね。

ー訪問看護の現場でさまざまな経験を積むなかで、忘れられない出来事はありますか?

印象深いお客様はたくさんいらっしゃるのですが、一番印象に残っているのは半年間ほど担当し、お看取りをした小児のお客様です。
そのときにご家族からいただいた「あのとき訪問に来てくれて本当に嬉しかったよ。ありがとう」というお言葉に救われました。今でももっと一緒に過ごしたかったなぁと胸が締め付けられる日がありますが、そのお客様への想いがあるからこそ今も訪問看護師として常に前を向いていられるんだと思います。