「こだわり」の強さに障がいを抱えている彼が、こだわり抜いて選んだソフィアメディの魅力

「こだわり」の強さに障がいを抱えている彼が、こだわり抜いて選んだソフィアメディの魅力

近年よく耳にするようになった「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉。「ダイバーシティ」は「多様性」という意味で、年齢、性別、国籍、文化などさまざまな属性を持つ人の集団を言います。一方、「インクルージョン」は「包括」のことで、多種多様なものをひとつにすることを言います。

つまり、これらの2つの言葉を組み合わせた「ダイバーシティ&インクルージョン」は、年齢、性別、国籍といったさまざまな多様性を認めて、それぞれ個人を尊重し、認め合い、活かしていくことを意味します。

ダイバーシティ&インクルージョンを推進するため、さまざまな法律や制度があります。そのうちの一つである障害者雇用促進法。企業の従業員数に応じて一定数の障がい者を雇用することで、障がい者の職業の安定を図るというものになります。

ソフィアメディにもさまざまなハンディキャップを抱えながら働いている方がいらっしゃいます。身体や精神的な面で困難さを抱えた人たちへの配慮やサポートがある職場は、そこで働く誰もが働きやすい職場と言えるのではないでしょうか。今回、障がい者雇用で働かれているOさんに、ソフィアメディへの入社の決め手や働きやすさを支えているサポートや文化についてお話を伺いました。

(※記事の内容は2022年3月取材当時のものです)

<プロフィール>

■O.Tさん/総合職/人事労務グループ所属

東京都出身。幼少期から一つのことに没頭することが多く、鉄道の路線図や街などを想像して遊んでいた。16歳になり気持ちが不安になったり、落ち込むことが増え、統合失調症の診断を受ける。大学在学中に人生の転機が訪れる。就職活動にて何社も見学に行く中で、視野や選択肢が広がっていく経験をし楽しさを感じる。2019年5月、障がい者雇用としてソフィアメディに入社。現在は人事労務グループで、スタッフの評価・査定の入力や雇用契約書の作成、ご本人への通知・送付、スタッフの残業時間の集計業務などを行う。趣味は写真撮影・鉄道・文芸創作・サイクリング。

困難さに気づいた学生時代

──経歴を教えてください。

Oさん:出身は東京都、小中高と地元の練馬区で育ってきました。子どもの頃は鉄道が好きで、頭の中で路線図を組み立てたり、自分だけの駅や街を想像していることが多かったです。細かな部分にこだわりやすい性格だったので、夢中になって遊んでいました。

14歳くらいから、少しずつ周りの人たちと合わないと感じることが増えてきて、不安になったり落ち込みがちで不登校になりました。16歳のときに病院を受診したところ、統合失調症の症状と重なる部分があり、その診断となりました。

──どのような症状があったんですか?

Oさん:私の場合は、ちょっとしたことで「この人に嫌われているかもしれない」とか「この人は自分のことをこう思っているんじゃないか」のような被害妄想を感じることが多かったです。その度に気分が落ち込んでいました。

──高校時代について教えてください。

Oさん:最初は体調が悪くてなかなか通うことができませんでした。でも、通っていた高校が最長6年間通えるところだったので、留年をしながら5年かけて無事に卒業することができました。

自分の他には、不登校の人やいろいろな理由で普通科に通うことが難しい人がおり、手厚いサポートを受けることができました。クラスには同じような辛さや困難さを抱えながら通っている人ばかりだったので、周囲と比較されたり、優劣を付けられることがなかったのも無事に卒業できた理由の一つですね。

その後は大学に進学するのですが、一般的な受験は自分にとってかなりの負荷がかかり、自信がなかったので、学校からAO推薦を勧められて埼玉県の大学に通うこととなりました。

──大学に進学されてからは気持ちの部分に変化はありましたか?

Oさん:大学に通ってからもやはり体調を崩すことはありました。高校のときは自分と同じように困難を抱えている人が周りにいたので、自然とお互いのことを気にかけたり、受け止める雰囲気がありました。しかし、大学では普通の会話をすることの大変さを感じて「これが社会なんだ、世の中ってこういう感じなんだ」ということをセンセーショナルに感じ、受け止めていたのを覚えています。

ただ幸いにも、障害を抱えている人に対する偏見を持っている人が周囲にいなかったので、私のことも一人の人として付き合ってくれましたね。

──大学で記憶に残るエピソードはありますか?

Oさん:「趣味がなくて困っている」という悩みごとを周囲の人たちに相談していたら、ゼミの教授から「Oくん、写真とか撮ってみたらどうですか?」とアドバイスをいただきました。それを真に受けて、その日のうちに一眼レフカメラを買いに行きました。途中で挫折しないように高いカメラを買ったのを覚えています。

そのおかげで今も趣味として続いていて、どこか出かけた時に写真を撮る時間はすごく心が落ち着きますね。

──伺った話によると、過去にはソフィアメディが運営するInstagramの写真や文章もOさんが担当されていたんですよね?どの写真や文章もすごく繊細なものばかりでよく見ていました!

O:あのときInstagramをやるにあたって「共感」をテーマに取り組んでいました。求職者の方への共感、ソフィアメディの取り組みに対する共感、あとは訪問看護という仕事自体への共感など。そういうのを意識して写真や文章を載せさせていただきました。

──この「SophiamediA」の先輩みたいな感じですね。先駆けというか。

Oさん:とんでもない!恐縮です(笑)。

ソフィアメディのInstagramはOさんが写真を撮っていました

「こだわり」から抜け出し、「選択する」楽しさを見つけた就活時代

──就職活動ではどんな企業を見に行かれたんですか?

Oさん:半年間で10社ぐらい就職説明会に参加して、他にも見学と実習は合わせて4社ぐらい行きました。職種はバラバラで、住宅設備に関する企業、浄水器の販売・設置をする企業、子ども向けにプログラミング教育を行う企業、あとはマイノリティな人たちを支援するウェブメディアのライターなどになります。

──かなり幅広いですね!ちなみに、子どもの頃はどんな職業に憧れていましたか?

Oさん:鉄道が好きだったので、ベタですが電車の運転手です。

でも、小学校3年生くらいの頃から、少しずつ自分のこだわりが変化したのを覚えています。以前までは、一つのモノやコトへのこだわりが強かったのですが、少しずつ頭の中のイメージをいろんな形でアウトプットできるようになりました。

今までやりたいことのイメージが自分の頭の中だけで留まっていましたが、実はそのやりたいことは仕事や職業として存在しているんだ、という気づきが大きかったですね。例えば、何かかっこいい映像を撮ってみたいから映画監督になりたい!とか、文章やセリフを考えるのが好きだから脚本家になりたい!のように突然いろんなことへの興味が湧き、選択肢が見えるようになりましたね。

──それで様々な企業の説明会に参加されたんですね。

Oさん:見学する際に大事にしていたのは、とにかく場数を踏むということ。働くことや企業についての知識がなく、一社だけの見学ではそこの良し悪しを判別することができなかったので、何十社か場数を踏めば比較ができるようになったり、何か直感的に良い企業を見つけたりできるかもしれない、と思っていろんな情報収集を行っていました。

──就職活動中に体調を崩すことはなかったんですか?

Oさん:就職活動って大変なイメージがありますが、あの頃はむしろ調子が良かったです。何か自分の中でスイッチが入ったかのような、アドレナリンが出ている感じがしました(笑)。いろんな企業の見学に行ったことで、自分の中で世界が広がる感じがしたり、働くことへの具体的なイメージにもつながったのが楽しさになっていたのかもしれませんね。

──ソフィアメディを知ったのもその時ですか?

Oさん:2019年1月頃、ソフィアメディで障がい者雇用向けの見学会が行われることを偶然知り、参加を申し込みました。その時、総務と人事の方が対応してくださいました。余談ですが、その時対応してくださった人事の方は、今の自分のマネジャーになります。

障害者雇用の見学会や実習に多く参加していると、企業の雰囲気が説明会に表れていると感じるようになりました。事務的だけど障がい者のことを理解してくださっている企業もあれば、アットホームだけど理解や知識はこれからという企業、何もかも初めてなので一緒に作っていきましょうと言ってくださった企業など。姿勢は様々あり、それぞれに就労を目指す人との相性があるだろう、と思います。

ソフィアメディの見学に行って、まず感じたのは優しくてアットホームな雰囲気でした。よく見学会では「本日はこういう段取りで、このような流れで進めていきます」のように事務的になってしまうことがあると思います。しかし、ソフィアメディの見学会では、迎える側も「ちょっと緊張しますね」という親しみやすい雰囲気を感じました。見学の対応をしてくださったお二人は、医療現場に出ることのない総合職にも関わらず、こんなにも和やかであたたかい雰囲気の人たちが働いているんだ、ということに感動しました。

また、配られた説明会資料も形式的だったり事務的ではなく、実際にそこで働く人たちが考えて作られたものだったので、言葉遣いから優しく丁寧に作ってくださったんだな、と感動しました。企業というよりもそこで働く人たちの人間味を感じることができて安心感があったのを覚えています。

当時、説明会で配られた資料

ソフィアメディのミッションにも含まれている「安心であたたか」を「日本中にゆきわたらせる」組織だからこそ、安心とあたたかな雰囲気の人たちが集まっているのかもしれませんね。こういう安心感があったので「ここで働きたい」と強く思ったのが入社のキッカケになります。そして、見学会、実習を経て、2019年の5月1日に新卒という形でソフィアメディに入社しました。

働く上での困難さとそれに対するサポート

──普段はどんな業務を担当されていますか?

Oさん:人事チームとして、スタッフの評価・査定の入力や雇用契約書の作成、ご本人への通知・送付、スタッフの残業時間の集計業務などをしています。

障がい者雇用の人たちは勤務体制が人それぞれになります。自分の場合は、勤務時間10:00〜17:00で、平日のうち毎週木曜日が休日となっています。そして、在宅勤務だと気持ちの切り替えが難しかったり、近くに頼れる人がいないと不安になりやすいので、月曜日以外は出社するようにしています。

──仕事をしていて困ることはありますか?

Oさん:基本的に困ってばかりですね(笑)。

3年くらい前から「自閉症スペクトラム障害ならびにうつ状態」の診断になり、治療を続けています。もともと物事へのこだわりがあり、一点集中には強いですが、マルチタスクや環境の目まぐるしい変化にはストレスを感じてしまいます。ストレスがかかると、うつ状態・悲観的な思考になってしまい、めまいや吐き気、倦怠感、微熱など風邪の初期症状に似た反応が身体に起こります。

一つの作業に没頭しすぎてもう一方を忘れてしまうことや、一つの作業に力を注ぎ過ぎてもう一方をやる気持ちの余裕がなくなってしまうということが結構ありました。

──自分も忙しくなるとそういうミスをついついやってしまいますね…。

Oさん:自分の中では「大丈夫、次はちゃんとできる」と慰めてみるのですが、ミスしたことに固執してしまい「やっぱりダメだ、ダメだ」という思考になってしまいます。思考についてもどちらか一方しかできない、となってしまうのも自分の特性ですね。

──ミスをしないために心がけていることはありますか?

Oさん:とにかく書き残すということを徹底しています。パソコンとメモ帳の両方を活用しながらその日やるべき業務リストをまとめています。

──もしかして、そのメモ帳にもこだわりが表れていたりしますか?

Oさん:出てますね(笑)。パッと見てわかるように色ごとに意味や役割を決めていますね。

あとは週に一度、マネジャーと1on1をしています。体調や業務、メンタル面の報告を行ってフィードバックをもらっています。その際、本社で働く看護師さんも同席してくださることがあるのですが、現場で精神疾患の対応をされてきた方なので、専門的な視点で自分の気持ちに寄り添ってくださるので安心感がありますね。また、看護師さんからのアドバイスをマネジャーも一緒に聞いていてくださって「Oさんの気持ちはそういうことだったんだね」と理解してもらえるので、とてもありがたい場になっています。

──マネジャーの視点だけでなく、看護師さんの視点が加わることでOさんだけでなく、その場にいるみんなの理解が深まるのですね!

Oさん:ソフィアメディでは医療従事者に関わらず、働いているみなさんがホスピタリティに溢れていると感じます。忙しいとつい気持ちにも余裕がなくなってしまうと思いますが、そんなときでも、相手を気遣って声をかけ合ったり、笑顔で接することが自然にできてしまうんです。

また、「ありがとう」と伝える際、その理由を添えてくださる方が多いですね。「ありがとう、〇〇してくれて助かった!」「〇〇を代わりにやってくれて、ありがたかった」と言われると、とてもうれしく感じます。これも「安心とあたたかさ」を「日本中にゆきわたらせる」ことを目指すソフィアメディのすてきな文化だと思います。

1つのことに強いこだわりを持ち、複数のことを同時に行うことが難しいというOさん。しかし、「繊細さ」や「素直」な視点もOさんの魅力だと感じました。今回のインタビューも言葉の選び方がとても丁寧で、Instagramに載っている写真や文章からもそれが伝わってきます。そんなOさんが感じ取った「ソフィアメディで働く人たちの安心感とあたたかさ」は、ソフィアメディのミッションとも一致しており、理念にしっかりと根差した組織の在り方を感じました。

[取材・文・写真]岡田紘平

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