「いつかは訪問看護にチャレンジしたい」と思っている人は多いもの。その想いを長い間あたため、様々なキャリアを経てソフィアメディにたどり着く人もいます。
今回はそのうちの一人、ステーション元住吉の管理者Mさんにインタビュー。国立精神・神経医療研究センター/国立国際医療研究センターで15年勤めたのち、看護教員の研修・大学院での勉強期間や、回復期リハビリテーション病院での勤務を経て、ついに訪問看護師の夢を叶えた方です。
経験豊富なベテラン看護師から見た訪問看護の魅力について、たっぷり語っていただきました。
<プロフィール>
■M.Mさん/看護師・管理者/ステーション元住吉勤務
看護師歴21年。元々カウンセラーを目指して心理学を勉強していたが、精神医学に興味を持ち、障害児心理学を専攻。精神薄弱児施設で4年半働いた。その後、医療知識を求めて看護師の道へ。国立精神・神経医療研究センター/国立国際医療研究センターで15年勤務し、特に精神科の看護にやりがいを見出す。さらなる成長を求めて教員の学校や大学院へ。遷延性意識障害看護を学ぶ中で、口腔ケアの重要性を感じて認定看護師に。学んだことを活かすために回復期リハビリテーション病院に勤務し、摂食嚥下障害をもつ患者さまを多く看た後にソフィアメディへ転職。3年目の現在、管理者として活躍中。
「いつかは訪問看護へ。」そのために、常に新しい学びや経験を求め続けてきた
──障害児心理学を専攻し、看護師免許を取り、教員の学校や大学院でも学び、認定看護師の資格を取り…と、常に新しい領域に挑戦し続けてこられたMさん。まさに「学びの人生」ですね!
Mさん:そうですね(笑)。常に新しいところで初めてのことに挑戦し、そのたびに「自分はまだまだだな…」と思いながら、ここまでやってきました。
──そんな中、ソフィアメディへはどういう経緯で辿り着いたのでしょうか?
Mさん:実は、「いつかは訪問看護がやりたい」とずっと思っていたので、ソフィアメディのことは以前から知っており、選択肢は常に頭の中にありました。
というのも、看護学生時代、学校の近くにとても尊敬できる先生の病院があり、訪問ホスピスで末期がんの方がご自宅で看取られる様子なども間近で見る機会がありました。「その人が一番大事にしている場所で、人生を全うできるような環境を私もつくりたい」と思ったのがキッカケです。そのためにずっと勉強を続け、今日に至ります。
回復期リハビリテーション病院に転職する際、一度ソフィアメディとどちらにするかで迷いました。でも当時は、認定看護師の活動がしっかりできる場所を求めていて。まずはお客様のリハビリ経過をどのようにサポートしていくかを学ぶのが先だと思い、回復リハを選びました。
──そこで経験を積んだ後に、ソフィアメディに入職されたわけですね。そのときは、もう他と迷いませんでしたか?
Mさん:実は、他の病院から看護部長のお話をいただいたり、別の訪問看護ステーションを見たりもしていたんです。でも最終的に、【教育のシステムがしっかりしていること】【一緒に働きたいと思える人たちがいること】【私がやりたいことをきちんとバックアップしてもらえると思えたこと】を理由に、ソフィアメディを選びました。
ソフィアメディに来て、「やりたかった看護」「相手本位の看護」ができるように
──「ソフィアメディでやりたかったこと」とは何ですか?
Mさん:これまで指導者として長く教育に携わってきて、また教員の学校で新たに学んだこともあったので、会社には「教育を専門的にやりたい」と最初から伝えていました。また、大学院で口腔ケアの重要性を学び、回復リハでは摂食嚥下障害の方を数多く看てきたので、「訪問看護ステーションでも、嚥下の知識を活かしたい」という気持ちも強かったですね。
──ズバリ今、やりたかったことは実現できていますか?
Mさん:最初は正直、それどころではありませんでした。訪問看護はほぼ初めてで、まだソフィアメディの制度も動き方も分からないまま、いきなり管理者として入ったので…。ただ、3年目の今は、少しずつ前に進んでいる気がしています。ソフィアメディ内外の研修に関わらせていただく機会も、以前に比べて増えてきました。
口腔ケアとか摂食嚥下に関しては、年齢も疾患も全く関係なく全員が対象者なので、「こういうセルフケアのやり方がありますよ」「こうやって栄養を摂るといいですよ」といった感じで皆さんにアプローチしています。
口の中がキレイになったほうが気持ちいいし、楽しく話せるし、食事もおいしく摂れるし、健康も維持できる。その根拠や理由もきちんと伝えられるので、今は認定看護師の資格を十分に活かせていると思います。
弱音も否定しない。スタッフ一人ひとりが人生を大切にできる職場に
──Mさんが管理者をされているステーション元住吉は、どんな雰囲気ですか?
Mさん:一人ひとりが自立して、おせっかいで、朝からみんなが笑っているような、楽しいステーションです。私は管理者という立場ですが、ステーションは私のものではなく、みんなのもの。だから何事も私が一人で判断して進めることはありません。いつも「モトスミ(元住吉)として、どうしたい?」とみんなに聞いて決めています。
──訪問看護ならではのやりがいや難しさについて、感じたことがあれば教えてください。
Mさん:目の前のお客様のニーズにきちんとアプローチできるのが、訪問看護の醍醐味です。お客様のご自宅で、相手の方の時間とお金を使わせていただくという意識が明確にあるので、しっかりと相手本位の看護を実現できます。
大変なのは、教育の部分でしょうか。一人ひとりが自立してお客様のところに行かなければならない分、スキルだけでなく人間性の部分でも求められることが多いので、教育する上で大切に考えています。
──訪問看護の仕事は、どんな人に向いていると思いますか?
Mさん:お客様の人生に伴走する仕事なので、人が好きで、かつ「ちゃんと看護をやりたい」と思っている人に向いています。人や仕事を好きだと思えたら、どんなことも乗り越えられると思いますよ。
大切なのは、「自分の人生の中に、一緒にいてほしい」とお客様に思ってもらえる存在になること。だから高度な知識やスキルよりも、人に対しての想いや、社会人としての姿勢が求められます。うちのステーションも、スタッフ全員が同じ経験やスキルを持っているわけではありません。そこはみんなで補い合えますし、いろいろな人がいるからこそ訪問看護は成り立つので、自分自身がこの仕事を「やりたい」と思えれば臨床経験が少なくても大丈夫です。
──経験が浅い方や訪問看護が未経験の方には、どのように接していますか?
Mさん:最初から一人で行ってもらうことは絶対になく、先輩とずっと一緒に行動して、「一人でも行ける」と本人が判断してから独り立ちをしてもらいます。また、オンコール当番の携帯電話を持ってもらう場合も、「いつ電話してもいいよ」「一人で行くのが怖かったら呼んでくれてもいいよ」というバックアップ体制はしっかり整えていますね。
それから、「お客様先に行くのが怖い」「今日は何だか不安な感じがする」といった弱音もちゃんと吐き出せるような人間関係を作ろうと思って、日々コミュニケーションを取っています。
──その関係性を構築するために、心がけていることがあれば教えてください。
Mさん:「絶対に否定しないこと」です。何か話しかけてくれたときは、まず受け止めます。人間は強くないので、いつも100点の動きができるわけではありません。その日の体調や家族の心配事など、ちょっとしたことでもパフォーマンスは下がります。だからもし今日100点の力を出せなくても、「じゃあ、今日はここまではやろう」「その訪問は代わりに行くよ」といった声をかけ、人の弱さも受け入れるようにしています。そうすることで、スタッフの人生にきちんと寄り添える仕事環境や安心感をつくっていければいいなと思いますね。
人生は、仕事がすべてではありません。みんなにそれぞれの人生を大切にしてほしいですし、ぜひそのためにソフィアメディをうまく使って欲しいです。私は、一人ひとりが自分の人生で一番大事なものを守れるようなステーション、会社にしていきたいと思っています。