相手の中に隠れた挑戦心を創発する、作業療法士としての企画力

ソフィアメディは今、約10,000人のお客様とおつきあいがあります。10,000通りの「生きる」があり、10,000通りの「看る」があります。ソフィアメディのスタッフは“「生きる」を看る。”をどう捉え、お客様と接しているのでしょうか?それぞれの訪問看護に対する想いをご紹介します。

※こちらは2021年8月発行の社内報内インタビューを転載したものです。

〈今回私の“「生きる」を看る。”を話してくれた人〉

ステーション元住吉 作業療法士

K.Yさん

「挑戦したい」が生まれる関係性

私は入社前、青年海外協力隊として2年間ベトナムで活動していました。そこで現地の人たちが制度も整っていない中で、自宅に訪問して医療を提供している姿を目の当たりにして在宅医療の必要性を痛感しました。そして日本に帰国後、訪問看護で働きたいと思い、ソフィアメディに入職しました。

実際にソフィアメディで働く中、印象に残っているお客様がいます。高齢の男性でご家族と二人暮らしのお客様でした。介入当初はほとんど寝たきりだったのですが、リハビリテーションを通して少しずつ心身機能が回復し、自宅内のADLはご家族の支援のもと安全に行えるレベルまで回復しました。しかし、その先の人生の目標が見つからず、お悩みになられている状態でした。

そこで改めてご本人様の人生の背景をお伺いすると、昔からドライブに行ったらなかなか帰ってこなかったほど車の運転が大好きだったことを知りました。そんなヒントを得て、ご本人様は外出したいとは一言もおっしゃったことはなかったのですが、私は思い切って電動車いすを提案してみました。

これがあれば外出が可能になって、より能動的な活動が促されるのではないかと考えたんです。そこで相談のうえ、電動車いすをレンタルしてみることになりました。結果として、今では週5日もご家族と一緒に散歩に行ったり、いきいきと生活されるようになりました。

私にとって“「生きる」を看る。” とは、ともに悩み、ともに挑戦する事だと思っています。そして、その実現のためにセラピストとして「挑戦したい」が生まれる仕掛けをつくっていくことが重要だと考えています。

それは、顕在的な希望を達成するためだけでなく、お客様がご自身の可能性にブレーキをかけることなく新たな希望を見出せるような仕掛け、すなわち潜在的な希望を引き出すための仕掛けも含まれます。特に在宅領域では千差万別な環境やそれぞれの人生の背景があり、何が効果を発揮するかが予測しにくいからこそ、セラピストは柔軟で多様なアイデアを用いて仕掛けをつくっていくことが大切なんじゃないかと思います。

また、その仕掛けの効果を発揮するためには、お客様やご家族との良好な人間関係が大前提です。セラピストとして「この人からの提案は自分の生活を良い方向に導いてくれる」という信頼を日々の介入で積み重ねておくことが重要だと思っています。

これからも日々の介入に手を抜かず、お一人お一人のお客様と向き合いながら、より良いリハビリテーションを追求していきたいと思います。