言葉にできないもどかしさに寄り添い、“安心であたたか”を届ける言語聴覚士

言葉にできないもどかしさに寄り添い、“安心であたたか”を届ける言語聴覚士

ソフィアメディは今、約10,000人のお客様とおつきあいがあります。10,000通りの「生きる」があり、10,000通りの「看る」があります。ソフィアメディのスタッフは“「生きる」を看る。”をどう捉え、お客様と接しているのでしょうか?それぞれの訪問看護に対する想いをご紹介します。

※こちらは2021年4月発行の社内報内インタビューを転載したものです。

〈今回私の“「生きる」を看る。”を話してくれた人〉

ステーション用賀 言語聴覚士

K.Kさん

一緒に明るい方向に進む手助けを

回復期リハビリテーション病院勤務のあと、別の訪問看護ステーションに勤め地域活動をしているときにソフィアメディで働いている方と知り合ったことがきっかけで転職を決めました。

大学で心理学を学んでいたとき、ゼミの先生が臨床心理士で当時国家資格になって間もない言語聴覚士の資格も持っていらっしゃいました。学生の2年間、毎週クリニックなどに同行させていただき、研究よりも人と関わりながら働くことに興味をもったので、大学卒業後に言語聴覚士の専門学校に入りました。

実際に働き始めてみて、想像以上にお客様が良くなっていかれるには時間がかかるし、自分の力は小さいことを知りました

お客様は、嚥下障害や失語症の方などがいらっしゃいます。嚥下障害の方は、ご自分でちゃんと食事をしたいと望まれる方が多いです。一日出かけられなかったり、横になっていたりという方も多く、やはり食事は大事な楽しみなので、少しでも喜びを感じていただける手助けができれば、と思います。なかなか大変なことなんですが、ご家族の手料理が食べたいという目標を立て、クリアしていただけたりするととても嬉しいです。

一方で、失語症のお客様は成果が目に見えないので、良くなった実感が得られにくいところがあります。そんな中で良くなろうとする意欲を保っていかれるのは大変なことです。そこでがんばって人と会う努力をする方と、人に会いたくなくなってこもりがちになる方と二極化する傾向にあります。こもりがちになられる方は、お友だち付き合いもなくなって、シャットダウンしてしまいます。そんなときは一緒に外に出る機会を作ったり、NPO法人日本失語症協議会が作られている「友の会」を提案したり、まずは人と触れ合う時間を少しずつ作れるようにしています。

失語症の方へは特に長く介入させていただくので、時にはご家族よりもご本人のことを知っていることが多くなったりもします。ご家族の負担になりたくない一方で、本当はどう生活したいなど色々な感情を抱えていらっしゃいます。ご本人がうまく言葉にできないことを整理する手助けをしながら、明るい方向を向いていただけるようにサポートしたいと思います。

そうして、ご家族との関係性にもよい影響が生まれるように努めています。一対一でしっかりとお話しする時間は少ないですし、心を開いていただくまでに時間もかかる。でも「身体が楽になったから、また一週間頑張れるよ」とか、「また来週来てね!」と言っていただき、訪問がその方の生活の一部になっていることを感じると、少しは頼りにしていただいているのかな、と思えてうれしいですね。