訪問看護ステーションで活躍するスタッフを紹介!訪問看護における各職種の役割とは

訪問看護ステーションで活躍するスタッフを紹介!訪問看護における各職種の役割とは

医師や看護師などの医療職者が、サービス利用者の自宅や施設に直接訪問し、利用者のケアを行う在宅医療。専門のケアが必要な利用者であっても、住み慣れた自宅での生活を継続して行えることからニーズが高まり、高齢化が進む現在ではより注目が集まっています。

では、在宅医療において必要不可欠とされる訪問看護ステーションとは、どのようなものなのでしょうか。訪問看護ステーションの役割と、どのようなサービスを提供しているのかをご紹介します。

訪問看護ステーションの概要

訪問看護ステーションとは、サービス利用者が住み慣れた自宅で、ストレスなく療養生活を送れるように訪問看護サービスを提供する事業所のことをいいます。訪問看護ステーションには、看護師以外にも保健師や助産師、理学療法士などの様々な職員が所属しているため、サービス利用者の目的に合わせたサービスを提供することが可能です。

訪問看護を利用する方は、高齢者が多い印象があるかも知れませんが、サービス利用に年齢制限などはありません。乳幼児から高齢者まで幅広い利用者がいらっしゃいます。

訪問看護はサービス利用者の療養生活のサポートだけではなく、自立を目指した支援を行うことが目的です。

訪問看護ステーションの役割

訪問看護ステーションは、利用者への看護サービスの提供以外にも『地域包括ケアシステム』としての役割があります。地域包括ケアシステムとは、自分が住み慣れた地域で心地よく生活ができるように、住まいや医療・看護・予防、そして生活支援を一貫して提供するシステムのことをいいます。

地域包括ケアシステムの構築が必要になったのは、少子高齢化が進み、団塊世代が75歳以上となる2025年に、国民の医療や看護の需要が現在よりも増加することが背景としてあります。地域包括ケアシステムは、地域の特性に合わせてそれぞれ作り上げていくことが望まれています。ここでいう『地域』とは、30分以内にサービスを提供されることを想定されています。

この地域包括ケアシステムの中で、訪問看護ステーションが求められている役割として、医療と介護を繋ぐことが求められているのです。近年では医療機関から在宅療養への移行が目指されており、自宅にいながら受けられる訪問看護サービスの役割は広がっています。

訪問看護ステーションの現状

1991年に老人保健法等の一部改正により、指定老人訪問看護制度が設立されました。そして、1992年4月から訪問介護ステーションの訪問看護が始まります(出典・参照:公益財団法人日本訪問看護財団「訪問看護の現状とこれから2021年版」 )。健康保険法等の一部改正が1994年に行われたことにより、指定訪問看護制度が創設されて、高齢者以外の在宅療養者への訪問看護が提供されるようになりました。

そして、2026年には日本の高齢化率が38.4%に達すると言われており( 出典・参照:厚生労働省「訪問看護(参考資料)」 )、入院治療の効率化と在院日数の短縮化の観点から、年齢や傷病を問わず訪問看護サービスの需要は高まってきています。

国内の訪問看護利用者数

一般社団法人全国訪問看護事業協会の「平成30年度 訪問看護講師人材養成研修会」によると、2001年には約4万8千人だった利用者ですが、2017年は5倍以上の22万人まで利用者が増えています。60歳以上の高齢者の利用が多いのは同様ですが、40代から50代の利用者が増加していることが分かります。

特に2013年から2017年の4年間で、約10万人に利用者が増加しており、近年の訪問看護ステーションの需要の高まりが分かります。

現在の国内の訪問看護ステーションの事業数

2001年の訪問看護ステーションの事業所数は4,693事業所でした。それから19年後の2020年には当時の事業所数の約2.3倍にもなる11,145事業所が存在しています(参照:公益財団法人日本訪問看護財団「訪問看護の現状とこれから2021年版」)。

訪問看護ステーションを運営している団体の多くは営利法人です。営利法人が開設できるようになったのは1999年からですが、現在では半数以上の訪問看護ステーションを営利法人が開設しています。

訪問介護ステーションで働く人数

訪問看護ステーションに従事している数は、2011年では3万人超となっています(参照:一般社団法人全国訪問看護事業協会「平成30年度 訪問看護講師人材養成研修会」)が、2017年では約6.5万人まで増えています。この中でも看護職員の割合は2011年では91%でしたが、現在は71%と減少しています。逆に理学療法士などのリハビリ職の割合は2013年時点では5%でしたが、2017年になると22%まで増加しました。

また、1事業所当たりの平均従事者数は、全職種で2011年では4.5人でしたが、2017年は7.1人まで増えています。看護職員のみでは、2011年の4人から2017年には5人の微増という結果になりました。

訪問看護ステーションで働くスタッフ

では、訪問看護ステーションではどのようなスタッフが勤務しているのでしょうか。ここでは訪問看護ステーションで働く従事者の職種を紹介します。

看護職員

看護師

訪問看護は、訪問看護ステーションからサービス利用者の自宅へ直接訪問するサービスです。サービス利用者の自宅では、主治医の指示書に則った形で看護を行うことが可能です。

訪問看護ステーションでの看護師の主な業務内容は『健康状態の管理』『医療処置』『精神ケアや生活支援』『報告書の作成』などがあります。

【健康状態の管理】

サービス利用者の、体温や脈拍などの基本的なバイタルサインを観察します。他にも、サービス利用者が自宅で安全に生活できるように、様々な面で評価して指導するのも業務内容のひとつです。また、身体機能維持のためのリハビリを行ったり、医師や薬剤師、理学療法士などの専門家と情報共有して、専門的観点からのケアも行ったりします。

【医療処置】

主治医からの指示があれば、訪問看護師は点滴や採血などの医療処置を行うことがあります。他にもサービス利用者の服薬管理や、人工呼吸器の管理なども業務になります。

【精神ケアや生活支援】

訪問看護師は、実際の介助だけではなく、ご利用されている方やそのご家族の方の精神的ケアを行ったり、訪問がない日でもしっかりと生活ができるように支援することが求められます。訪問看護師は様々な症例やケアの方法、予防などの医療的知識を持って、利用者はもちろんその家族への精神的支柱になる必要があります。ご家族との信頼関係を構築することが重要となり、従来の業務内容の知識だけではなくコミュニケーション能力も必要になります。

【報告書の作成】

サービス利用者の自宅への訪問が終わった後は、その日に実施した看護内容や利用者の状態などを記録して報告する必要があります。担当が変わった時の引き継ぎや、日々行うケアの振り返りにも関わってくるため、細かく正確な情報が求められます。

准看護師

准看護師の業務内容は、看護師と大きな違いはありません。看護師と同様に、主治医からの指示書に記載された内容のケアを行います。

【准看護師にできる業務】

サービス利用者の健康状態の管理はもちろん、主治医や看護師からの指示があれば医療処置も行います。他にもサービス利用者やそのご家族の方のメンタルケアや生活支援、アドバイスなども行う必要があります。

【准看護師にできない業務】

准看護師は看護師とは違い、自分の判断で業務を行うということができません。もしサービス利用者の状態変化に気付いたとしても、自身の判断で処置をするのではなく、必ず看護師に報告をして指示を受ける必要があります。他にも、看護計画の立案を行えない、他の看護師への指示を行うことが出来ないという違いもあります。

保健師

訪問看護ステーションにおける保健師の業務内容は、看護師と同様に主治医の指示書に記載された看護業務を行うことが主になります。それでは、保健師と看護師の違いは何かというと、そもそも取得している国家資格が異なります。保健師になるには、看護師免許に加えて保健師養成課程を修了し、更に保健師国家資格に合格する必要があるのです。

保健師の業務内容は怪我や病気を未然に防ぐ予防医療が主となりますが、訪問看護ステーションでは保健師としての業務よりも、看護師業務の比重が高くなる可能性が高くなると思っていた方が良いでしょう。実際の業務内容は、事前に確認することをおすすめします。

助産師

助産師は、分娩介助だけではなく、出産前や出産後の保健指導なども業務内容となります。また、訪問先で他の医療スタッフと連携し、ケアが必要な子どもたちや、養育が難しい等の問題を抱えている子どもたちに対して、利用者の家族と一緒に子育ての支援をする役割もあります。

【出産前】

妊婦の食生活などの生活指導や、適度な運動方法を伝える健康指導などを行います。それ以外にも、出産に関する陣痛や入退院の流れなどの知識を教えたり、母親や父親になる人たちの不安を取り除くため相談を受けることも業務内容です。

【出産時】

出産の手伝いをする分娩介助が主な業務になります。お産での助産師の役割は、直接介助を行ったり、赤ちゃんを受け取るなどです。直接介助を行う助産師は、母体の状態を見て医師に処置を指示したりするなど、お産の進行をコントロールする役割があります。

【出産後】

妊婦の体調管理や母乳の指導などを行ったり、育児に関するアドバイスなどを行います。

リハビリ職員

理学療法士

訪問看護ステーションと、病院や施設で働く理学療法士の違いは、リハビリを行う場所がサービス利用者の自宅という点になります。また、基本的には一人で作業を行うこととなります。

主な業務内容には、サービス利用者の身体機能などを確認したり、住宅環境や福祉用具の有無などの点を評価したり、寝返りや起き上がりなどの基本動作や、排泄時や入浴時の動作、外出時の動作の確認などを行ったりします。他にも、必要に応じた適切な福祉用具の提案なども行います。

作業療法士

作業療法士の業務内容は、サービス利用者のバイタルチェックや身体機能などの評価、日常生活動作訓練に加え、住宅環境の整備のサポートやアドバイスなども行います。他には、サービス利用者と同居する家族に介護指導を行ったり相談に乗ったりすることも業務になります。訪問看護ステーションで働く作業療法士は、利用者の自宅を訪問した際は基本的に一人で作業を行います。

言語聴覚士

訪問看護ステーションでの言語聴覚士の業務は、利用者が自宅で生活するにあたっての言語訓練から食事(摂食・嚥下)訓練、高次脳機能訓練を行うことです。また、利用者への直接的なリハビリだけではなく、利用者の家族や介護者に対して、利用者とのコミュニケーションを円滑にするための提案や指導も行います。

まとめ

訪問看護ステーションで活躍しているスタッフの種類とそれぞれの役割について解説しました。訪問看護ステーションには地域に根付き、自宅にいながら療養を行いたいお客様の生活を支援・サポートする重要な役割があります。

しかし、今後ますます需要が高まる訪問看護ステーションですが、人材不足も懸念されています。訪問看護ステーションでは看護師だけでなく、様々な医療スタッフが必要とされています。これから医療職に就こうと考えている方は、訪問看護ステーションで働いてみることを検討してみてはいかがでしょうか。

全国に約90事業所を構える訪問看護のソフィアメディ

指定訪問看護ステーションを主軸として、北海道・関東・東海・北陸・関西・九州で約90事業所を展開しているソフィアメディ。「英知を尽くして”生きる”を看る。」というミッションのもと、病気だけでなく、お客様やご家族の人生そのものを支える在宅医療サービスを提供しています。

ソフィアメディでは「安心であたたかな在宅療養を日本中にゆきわたらせ、ひとりでも多くの方に、こころから満たされた人生を。」という想いをビジョンとして掲げ、超高齢社会においても、誰もがその人らしい人生を大切にしながら安心して療養生活を送れるよう、医療体制作りを進めています。

また、よりよいケアを行うため、スタッフの教育体制にも力を入れており、訪問看護未経験の方でも安心してスキルアップを図ることができるよう、様々な研修やセミナーも実施しています。在宅医療を支えるための様々な取り組みや挑戦を行っており、キャリアパスも様々です。

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