営業職、教員、理学療法士…人生何度だってチャレンジできる!ベテラン理学療法士がキャリアチェンジを経て得たものとは?

営業職、教員、理学療法士…人生何度だってチャレンジできる!ベテラン理学療法士がキャリアチェンジを経て得たものとは?

ソフィアメディには、専門職でも医療職以外の経験がある方など様々なバックグラウンドを持つスタッフがいます。様々なキャリアの選択肢があるとはいえ、職種を大きく変えたり、これまで積み上げてきた経験外のところに飛び込むのはとても勇気のいることだと思います。今回は、3つの全く異なる職種を経験し、現在は理学療法士として活躍するスタッフにインタビューしました。これまで自身のキャリアについてどのように考え、選択してきたのでしょうか?

<プロフィール>

■K.Sさん/理学療法士・主任/ステーション駒場

IT企業、医療機器メーカーの営業職として12年勤めたのち、理学療法士へキャリアチェンジ。急性期病院で6年勤め、2015年にソフィアメディへ入社。2019年に一度退職し、2021年にハローアゲイン制度を活用しソフィアメディへ戻る。現在はステーション駒場の主任として活躍中。趣味は大学時代から続けているPOPダンスで、脳卒中フェスティバルなどにも出演。

(※記事の内容は2022年4月取材当時のものです。)

営業職から理学療法士へ。自分の心に素直に生きるためのキャリアチェンジ

ーKさんは独特のキャリアをお持ちですね!

私は実は理学療法士になる前、12年ほどサラリーマンとして営業をしていました。2社で勤め、1社目はIT企業で、2社目は医療機器メーカーでした。医療機器メーカーでは手術用の縫合糸などが商材だったので、実際に手術室に入って手術の様子を見学することも多々ありました。

ー昔から医療に興味があったのですか?

いえ、たまたま商材が医療系だっただけで、医療機器メーカーに転職した当時は、正直医療に興味はありませんでした(笑)。でも、仕事をする中で次第に興味を持ち始め、理学療法士のキャリアに繋がるきっかけになりましたね。

ーどのような転機があって理学療法士になられたのですか?

出張が多い仕事でしたので、このままキャリアを積んでいった時に家族との時間が少なくなってしまうのではないかという不安がありました。そのような不安を漠然と抱えていた時に、会社で『7つの習慣』という本を題材にした研修があったんです。研修の中でこれまでの人生を振り返ったのですが、やはり自分の中で「家族が一番大事だ」という答えが明確になりました。それで、転職しようと決心がつきました。

―なぜ理学療法士を選んだのですか?

仕事で医療関係者の方と関わる中で、自分も患者さんと直接触れ合える仕事をしてみたいという想いがありました。その想いを軸に転勤や出張がない仕事を探していた中で理学療法士という職があることを知りました。

看護師など医療職にも様々ありますが、元々ダンスをやっていたので体の動きに興味があったことと、患者さんに直接治療をしてみたいという気持ちもあったので、そういった面でも理学療法士が合っているなと思いました。

ー未経験の職種に飛び込んだキャリアチェンジ、きっと勇気がいりましたよね。そこから専門学校に通い理学療法士になられたと。

決心してから実際に営業職を退職するまではやはり2年ほどかかりましたね。当時35歳でした。専門学校1年生の時に子供が生まれたのですが、私が学校に通っている間、奥さんが子育てをしながら家庭を支えてくれて、本当に頭が上がらないです。

ー実際にキャリアチェンジをしてみていかがでしたか?

勉強が好きなので、そういった意味で様々な専門性を習得しながら仕事に活かしていけるというところはとても性に合っていましたし、いろんな資格を取ってキャリアアップの道もたくさん開けるので、キャリアの選択肢の面でもよかったなと思います。

理学療法士から教員へ。チャレンジするチャンスを見逃さないように

ー理学療法士として活躍を始め、もう一度キャリアチェンジのタイミングがあったそうですね。

急性期の病院で働いてから元々興味のあった在宅領域に転職しようと思い、ソフィアメディに入社しました。入社して4年半ほど働いた頃、たまたま知り合いの理学療法士から、理学療法士の専門学校の教員に空きがあるからやってみないかと誘われたんです。

当時も今もですが、ソフィアメディも仲間も大好きで、離れたいと思ったことはなかったのですが、こんなキャリアステップの機会はなかなかないだろうと思い、とても悩みました。

悩んだ結果、戻りたいと思ったら、また戻らせてくださいと会社にお願いしてみようと腹を括って転職することに決めました。

何かをわかりやすく伝えたり、人前で喋るようなことはきっと自分の人生においても、いずれソフィアメディに戻れた時にも何か役に立つのではないかと思っていました。

ー新しいことに挑み続けるKさんのバイタリティが素敵です。教員になって、何を教えられていたのですか?

私は地域理学療法学という訪問看護や訪問リハで行っているような仕事内容を授業で教えていました。ただ、医療保険・介護保険の話や制度のことなど病院に就職したらすぐには使わないような内容なので、やっぱり興味がなくて寝てしまう学生もいて。

でも自分の経験を振り返っても、最初に学校で習うことは後々必ず身になっていると感じるので、今この学生が何を考えていて、どうしたら興味を持って聞いてくれるのかということをかなり考えるようになりました。そのために、とにかく楽しい授業にしようと言うのはいつも考えていましたね。あとは、実際に自分が理学療法士としてケアをしている時の写真や動画を見せたりしてイメージがつきやすいようにしていました。

制度を活用して再びソフィアメディへ。教員時代の経験を活かした新人教育

ー営業職から理学療法士に、そして教員に……。全く違う職を経験してきたKさん。教員からソフィアメディへ戻られましたが、何かキッカケがあったのでしょうか?

 ソフィアメディを離れてからも、ステーション駒場のメンバーとはたまに会っていて、近況や悩みを聞き合ったりしていました。

その中で、みんなが「早く戻って来てくださいよ。いつ帰って来るんですか?」といつも言ってくれていて。教員としてチャレンジしてみたものの、やっぱりソフィアメディでもう一度働きたいと言う気持ちが大きくて、年度変わりのタイミングにソフィアメディに戻ることに決めました。

ー素敵な仲間たちですね。Kさんはそこからハローアゲイン制度を活用してソフィアメディに戻られましたね。

戻りたいと思った時に親交の深かった人事の方に連絡したら「ハローアゲイン制度」と言うものがありますよと教えてくださいました。

正直自己都合の退職だったので、このような制度は当てはまらないと思っていたのですが、自分でも適用できるということで、この制度を使い、改めて入社させていただくことになりました。

 ※ハローアゲイン制度

止むを得ない事情で退職した元従業員が再度入社を希望するときに、退職時の給与保障を受けて復職することができる制度。( 但し、在籍期間が1年以上あり、退職後5年以内の元社員に限る )

ーハローアゲイン制度を活用して良かったことはありますか?

家族を養うために、私にとってお給料などの条件面はかなり大切でした。その条件を退職時と変わらない形で適用してくださったのはかなり大きかったです。

いろんな条件が変わっていたら、どんなに好きでももしかしたらやむを得ず戻る選択ができなかったかもしれませんから。

ーきっと駒場の皆さんもKさんが戻ってきて嬉しかったでしょうね!実際に戻っていかがでしたか?

やはり、またステーション駒場で働けることがすごく嬉しかったですね。

絵が得意なスタッフがデザインした駒場Tシャツというものがあるのですが、初日にそれをお守り代わりに中に着込んでいきました(笑)。

駒場は本当に人と雰囲気が良くて、例えメンバーが変わってもその良い空気感が変わらないんです。今までいろんな職場で働いてきましたが、圧倒的にナンバーワンの職場ですね。

ーでは、ソフィアメディに戻られて、教員時代のことが今に活きていることはありますか?

自分の技能がどれくらいあるのかを確認する客観的臨床能力試験という試験の担当もしていたのですが、技術だけでなく、言葉遣いや立ち位置などの細かなところまで確認するもので、臨床でも基礎的でものすごく大事な内容が詰まっています。

訪問看護のセラピストたちは、出身病院のやり方でバイタルの測り方などがかなり人それぞれだったり、病院時代はバイタルを触らなかったという人も多いので、客観的臨床能力試験で教えていたことを元に、基礎をもう一度スタッフに教えていました。

キャリア経験を活かして自分ができることを。医療職が輝いて働ける社会を目指して 

ー様々なキャリアを歩まれたKさんから見て、医療職のキャリアステップに対して感じることはありますか?

よく考えているのは、日本中に在宅療養がゆきわたった時に、私たち医療職は幸せになっているだろうか?ということです。

皆それぞれ頑張っていますが、やっぱりお客様の「生きる」を看ようと思うと、お客様のためにやれることはどこまでも尽きません。その結果、残業して疲れて辞めてしまうということに繋がってしまうのだと思います。

在宅療養が広がっても、医療職の働き手が疲弊してしまったら元も子もないので、社会が幸せになるけれど、同時に医療職の働き手も幸せになって、皆が輝きながら働けるようになれば良いなと思っています。

そのためには会社としても業界全体としても解決しないといけない課題がたくさんあると思っています。

ー業界の課題であり、会社の課題ですね。では最後に、Kさんが今後達成したい目標はありますか。

訪問看護だけではなく、そこから派生して地域に根ざした仕事もしていきたいなと思っています。病院スタッフの方とお話をすると、自分の病院でお世話をしたお客様が退院した後どうなさっているのかを気にされている方が多いので、病院と連携し、訪問看護でのお客様の様子をフィードバックしたり一緒に症例検討をしていけたらと思っています。

また、教育やマネジメントの面でも、先程の業界の課題を解決できるような評価の仕組み作りや教育者を育てる仕組み作りなど、これまでのキャリアで培ったことを活かしてお役に立ちたいなと思っています。

あとは趣味のダンスと運動学を結びつけてインスタライブで配信したり、脳卒中フェスティバルで知り合った片麻痺の方と一緒に組んでいるバンド・ダンスチームで活動したりと、まだまだやりたいことがたくさんありますね!

ー今後もチャレンジ予定のことが既にたくさんあるのですね!素敵なお話をありがとうございました!

 様々なキャリアのご経歴をもつKさん。長年積み上げてきたキャリアから離れることは誰にとっても勇気がいることですが、むしろKさんはそれぞれの経験を掛け合わせ、自分にしかできないキャリアを作り上げてきました。そんな常にチャレンジを続けてきたKさんのお話が、新しい一歩を踏み出す誰かの背中を押すきっかけになれば幸いです。

[取材・文・写真]中村