訪問看護は、“自宅で行われること”“お客様によって在宅療養の個別性が高いこと”から、病院で提供される看護に比べ「価値」が他者から評価しにくいという課題があります。その「価値」を見える化することは訪問看護業界にとって、在宅医療の質を上げることに繋がります。ソフィアメディが提供する訪問看護の価値を「ソフィアエクスペリエンス」と名付け、定性・定量的な様々な角度から見える化を行いました。安心であたたかな在宅医療を届けるためにソフィアメディが取り組む、チャレンジについてご紹介します。
ソフィアメディエクスペリエンスについての詳しい内容はこちらから
訪問看護を通して私たちが本当に届けたい提供価値。お客様の“生きる”が充たされる体験、「ソフィアエクスペリエンス」とは
この新たなチャレンジに取り組むのが「SX最大化プロジェクトチーム」です。ソフィアメディエクスペリエンスをどのように分析し、活かしているのか、今回はその全容をプロジェクトリーダーとPMOに伺いました。
(※この記事は2022年3月発行アニュアルレポート内の記事を掲載しています)
事業規模の拡大を図る中でも訪問看護の体験価値を高められるようぐるぐるモデルで一気通貫した施策を
プロフィール)
右:S.Sさん(教育研修グループ GM兼SX最大化プロジェクト リーダー)
左:U.Hさん(教育研修グループ兼SX最大化プロジェクト PMO)
事業規模の拡大やコロナ禍など 。変化の激しい1年 ソフィアメディエクスペリエンスの 指標をどう捉えるか
Sさん:ソフィアメディは事業成長を続けており 、ステーション数は前回の48ヵ所(※1)から今回68ヵ所(※2)へ、スタッフ数は921名(※1)から1,361名(※2)へと成長しました。そのような状況の中で、今年度のソフィアメディエクスペリエンス(以下、SX)の結果指標は65.4点と、前年から比較して、0.4点上昇しました。
事業所の新規開設が多く、またコロナ禍で変化の激しい1年でしたが、そのような中でもSXの点数を保つことができたのはひとつの成果だと捉えています。
一方で、SXの構成要素である『看護リハビリ実践度』『5Spirits実践度』のスタッフ評価については下降を認めました。新入社員の増加やコロナ禍における多忙な状況など要因は様々考えられます。今回の結果に基づいて、実践度向上へ向けOJTの内容の見直しと共に、OFF-JTへの接続強化と活性化を次年度教育研修のテーマの一つとして計画しています。
※1:2020年9月時点、※2:2021年9月時点
SXを高めるためぐるぐるモデルにおける各施策のブラッシュアップを続ける
Uさん:SXとは、ソフィアメディが提供している訪問看護という無形サービスの価値を見える化したものです。お客様にどの程度の体験を提供できているかを数値で測り、重要な経営指標のひとつとしてモニタリングすることで、提供サービスの価値の向上に努めています。
Sさん:そして、SXを生み出すための価値創造モデルが「ぐるぐるモデル」です。SX最大化プロジェクトでは、ぐるぐるモデルの『育成』『両立支援』『評価・表彰』『お客様満足(以下、CS)』『従業員満足(以下、ES)』『社外コミュニケーション』『採用』の7つの要素において、施策のブラッシュアップを行っています。
Uさん:『育成』における研修については、入社〜3ヵ月や役職別研修、管理者候補塾など様々なプログラムを用意し、看護リハビリ実践度や5Spirits実践度の向上を図っています。例えば、新入社員研修ではビジョン・ミッション・スピリッツ(以下、VMS)の理解が重要であると考え、VMS策定の背景やお客様の事例などを踏まえた座学から、現場でのVMS実践を体感するための同行訪問、その後の学びと目標のアウトプットまでを一連の流れとして設計しています。本研修の受講時間はのべ17,760時間を超えました。他にも、スタッフ自身のペースに合わせて学べるオンライン研修のコンテンツを905種類まで拡充させるなど、教育に注力しています。
Sさん:スタッフにとっての働きやすい環境づくりを目指す『両立支援』では、有給休暇や引越支援金など各種制度について、実際の利用状況やES調査におけるスタッフからのコメントを元に、より働きやすい環境を整えていくことに重点を置いた1年であったと思います。
『評価・表彰』においては、評価シートの項目に、訪問件数に加え定性評価として5Spirits実践度を加え、数字では表現しきれない日々の努力も評価に反映されるよう様式のアップデートを行いました。
『CS』についてはアンケート調査を前年に引き続き行い、4,802人のお客様・2,001人の関係機関の方々からご回答をいただきました。これらの結果をステーション別・エリア別・規模別などで多面的に捉え分析するほか、CSの数値が高い・低い、上昇・下降したステーションに対してヒアリングを実施し、そこで得られたナレッジを抽出して教育研修や組織体制の構築を行うなど、CS調査結果からのフィードバックを様々な仕組みの進化に繋げられるよう取り組んでいます。
Uさん:『ES』については、パルスサーベイやGreat Place to Work(以下、GPTW)などの調査を用い、スタッフからの声を集め施策を打っています。両調査の回答率は平均80%と比較的高い水準であり、会社に対しての期待や改善の希望を持つ従業員が多いという数字であるとも考えられます。”働きがい”についての考え方は従業員一人ひとり様々ですが、今後も声を上げやすい・上げたくなるような仕組みづくりを考えていきます。
Sさん:訪問看護の認知度を高めるために、『社外コミュニケーション』も積極的に行いました。昨年度からこのアニュアルレポートを発行し、海外のアワードを複数受賞させていただいたこと、またテレビや新聞など多くのメディアで事業を取り上げていただいたことにより、社外の皆様にソフィアメディを知っていただく機会を少しずつ創出できつつあると感じています。
Uさん:また、事業拡大を続ける上で『採用』は非常に重要なテーマであると捉えています。訪問看護に関する知識や仕事の魅力を発信するWebメディア『SophiamediA(ソフィアメディア)』の開始や、リファラル採用強化を目的とした現場従業員参加型プロジェクト『リファラルメイト』の立ち上げなど、採用を加速させるために新たな取り組みをスタートしています。
各種施策を連動させお客様の体験価値の向上により寄与できるように
Sさん:この1年はぐるぐるモデルの各要素が個々に機能し、ブラッシュアップや新たなチャレンジを行った1年でした。来年は要素間の影響や相関などの関連性を紐解き、繋がりの強化をテーマに全体モニタリングを始め、一気通貫した仕組みとして更に進化していけるよう取り組んで参ります。