ソフィアメディは今、約14,000人のお客様とおつきあいがあります。14,000通りの「生きる」があり、14,000通りの「看る」があります。ソフィアメディのスタッフは“「生きる」を看る。”をどう捉え、お客様と接しているのでしょうか?それぞれの訪問看護に対する想いをご紹介します。
※こちらは2022年10月発行の社内報内インタビューを転載したものです。
〈今回私の“「生きる」を看る。”を話してくれた人〉
ステーション 小竹向原 作業療法士
M.Kさん
必要性とは可能性の隣人である
私がお客様と関わる際に大切にしている言葉があります。ギリシャの数学者ピタゴラスの「必要性とは、可能性の隣人である」というもので、実現したい未来があり、それが世の中に必要だと心から感じたのであれば、それを可能にする方法は必ず見つかる。だからこそ、その可能性が散らばっているのであれば拾い集めようという考え方です。
お客様が訪問看護にどのようなことを求めていらっしゃるのか簡単に見つけることができない時には「これ」という先入観を持たず、人生やその背景をすべて汲み取りながら全体像をマッピングするように心がけています。お客様自身がリハビリを通してどうなりたいかイメージできていないこともありますが、そのような場合は様々な視点から全体像を把握しているからこそ、先入観を持たずに「こういうこともありうる」という可能性を考え、お客様と一緒により詳細な全体像を把握していきます。
以前、担当した認知症のお客様との話になります。ご本人様は私の顔や名前を覚えることが難しく、それを見た妻様は「夫はこういうものですから」と諦めてしまい、夫婦間での意思疎通が難しい状況でした。リハビリのなかでお話を伺っていくと、お客様は昔テレビ局で仕事をされていたことがわかりました。毎日帰りは遅く、あまり家庭を顧みることができなかったようです。ある日、「娘に父親らしいことをしていないなぁ」という言葉を漏らされたことがあり、この方は父親として娘様との関わりが少なかったと後悔なさっているのかもしれない、という可能性が浮かびました。
ちょうどその時、娘様が結婚式をされる予定で、「父親として何かできることをやりたい」という家族に対するご本人の想いを、ようやく表出することができました。娘様とバージンロードをしっかり歩けるようになりたいという目標を立てました。リハビリでは自宅前の道路で私とお客様が腕を組み、バージンロードを歩く練習をし、本番は大成功となりました。また、結婚式ではご本人様が作業療法で作ったポストカードを娘様へ渡すというサプライズも無事に行うことができ、妻様からは「とても良い結婚式になりました」と言っていただけました。
お客様自身やご家族様が諦めていても、人生や背景のなかに散りばめられている可能性を隈なく見つめているからこそ、ご本人様ですら気づかれていなかった新たな視点を提供するということを意識してリハビリの目標設定をしています。