ソフィアメディは今、約10,000人のお客様とおつきあいがあります。10,000通りの「生きる」があり、10,000通りの「看る」があります。ソフィアメディのスタッフは“「生きる」を看る。”をどう捉え、お客様と接しているのでしょうか?それぞれの訪問看護に対する想いをご紹介します。
※こちらは2019年12月発行の社内報内インタビューを転載したものです。
〈今回私の“「生きる」を看る。”を話してくれた人〉
ステーション野方 言語聴覚士(取材当時:ステーション矢口 言語聴覚士)
Y.Tさん
選択肢を増やし生きる意欲を守りたい
STは嚥下という分野を支えています。それは即ち、三大欲求のひとつ、食欲という根源的なことを支えるということになります。
総合病院勤務のとき、脳幹の脳梗塞で飲み込みだけが悪くなるという症状のお客様がいらっしゃいました。身体はお元気なのに、食事ができなくて点滴補給になられたんです。すると、どんどん表情が暗くなって精神的にも沈んでいかれて…。
そこで食べることの意味の重さを感じました。
病院では誤嚥性肺炎の恐れがある場合、禁食となることがよくあります。
でも、自宅に戻ったらなかなかそういうわけにはいきません。CVポートをしながらも、むせて苦しくなりながらも好きな物を食べたい。そこでSTがご自宅を訪問してご本人の食べたいという意思と向き合い、少しずつ段階を踏んでいったら嚥下に関わる筋自体が改善して、嚥下内視鏡検査をしてみると、食べても大丈夫という状態になっていたということもありました。
訪問リハとしてできるだけ早い段階で嚥下に介入して良くしたい、という思いでソフィアメディに来ました。
ステーション矢口に配属され、進行性の神経難病のお客様を数件担当することになったのは大きな勉強になりました。少しずつ、でも確実に食事が減り、体重が減少し、疲れやすくなり、話しにくくなり、食べられなくなっていきます。
どうすればこの方のご希望にそった生活を最後までサポートできるか、どうしたら自然に受け容れていただけるかを考えながら、今までどんな経験をなさって、どんな人生観を持っていらっしゃるのか、お話に耳を傾け自分のことも少しずつお話しするようになりました。関わり方がより深くなり、自分自身が真摯に生きていないとしっかり向き合うこともできないと思いました。
ソフィアメディで年に一度行われる経営方針共有会で“「生きる」を看る。” という言葉を聞いて、以前シンポジウムでNPO法人「口から食べる幸せを守る会」の小山珠美さんという看護師の方がおっしゃっていた「人生最後まで口から食べる幸せを」という言葉を思い出しました。
それは誰もが望むことだと思いますが、必ずしも叶えられるとは限らないんですよね。でもSTとして最後まで諦めるわけにはいかないと思う。
食べる幸せを全力でサポートしていきたい。そのためには訪問に協力してくださる歯科医師との連携をもっと密にしたり、働きかけたりすることも必要と感じています。
そうして、お客様の意欲を守りたい、そんなことをいつも考えながら訪問をしています。