大自然溢れる奄美大島から東京へ。いつか九州に在宅医療をゆきわたらせるためスキルを磨く

大自然溢れる奄美大島から東京へ。いつか九州に在宅医療をゆきわたらせるためスキルを磨く

ソフィアメディでは関東エリアの東京と神奈川に70ヵ所の訪問看護ステーションがあり、東京を生活の拠点としているスタッフも多いです。そのなかには、生まれ育った地元を離れて、さまざまな憧れや目標を持ち上京してきたスタッフも少なくありません。新しい環境に自ら飛び込みチャレンジするソフィアメディのスタッフに、上京した理由や当時の心境、どのように東京の生活に慣れていったかなどを聞いてみました。今回はどんな上京物語が聞けるのでしょうか?

(※記事の内容は2022年2月取材当時のものです)

<プロフィール>

■I.Yさん/看護師/ステーション都立大学

鹿児島県奄美大島出身。九州の看護学校を卒業し、鹿児島県と熊本県の病院で幅広い病棟経験をする。回復期病棟で入退院を繰り返す患者様を看護するうちに、自宅退院後の患者様を支えていきたいと思い訪問看護への転職を決意。2021年4月に上京し、ステーション都立大学で勤務する。趣味はアウトドア、マリンスポーツ全般、旅行。

入退院を繰り返す患者様の生活を支えるため訪問看護を選ぶ

──ソフィアメディに入社される前の経歴を教えてください。

Iさん:出身は鹿児島県の奄美大島になります。実家はかなり田舎だったので、ご近所さんとは家族のような関係で、「ちょっと子どもの面倒みていて」とお願いされることもありました(笑)。

Iさんの地元風景

九州の看護学校を卒業してからは、鹿児島と熊本の病院でそれぞれ勤務しました。オペ室、一般病棟、療養病棟、回復期リハビリテーション病棟をそれぞれ経験しました。

──病院で幅広い経験をされていますが、訪問看護を選ばれた理由を教えてください。

Iさん:回復期リハビリテーション病棟で働いている際に、入退院を繰り返す患者様がたくさんいらっしゃることを知りました。そのような方々のケアを行っていると「この方たちは退院した後、どんな生活をしていらっしゃるんだろう?」という疑問が生まれ、その理由を知りたいと思いました。自分の今までの経験を活かして、患者様の適切なアセスメントとケアを行い、住み慣れた自宅で生活が続けられるような支援がしたいという気持ちがあったので、訪問看護への転職を決めました。

転職に向けて訪問看護についていろいろ調べ始めたときに、偶然ソフィアメディのホームページを見つけ、そのなかに書かれていたミッションや行動指針である5スピリッツに感銘を受けました。自分の大切にしてきた看護観と通じるところがあり、ここでさらに磨いていきたいと思い、転職を決めました。

──転職の際、はじめから東京と決められていたんですか?

Iさん:  姉と兄が大学進学で上京していたので、自分もいつか上京したいと前々から思っていました。だから、両親に上京したいと伝えたときも「出ちゃダメ!」というよりは「しょうがないよね」とすんなり理解してもらえました。

九州にももちろん大きな規模の訪問看護ステーションはありますが、医療がより発展していたり、最先端の情報や技術が集まる東京で学びたいという気持ちもあったので、就職先は東京にする、と決めていました。

上京の楽しみは旅行への行きやすさ

──上京への不安はなにかありましたか?

Iさん:東京で就職している地元の友人が多かったので、そんなに不安感はありませんでした。旅行が好きで海外に行くこともあったので、はじめての土地やそこでの電車移動には抵抗感がありませんでした。ただ、東京の人混みや満員電車だけは経験がなく、ちょっと不安でした。今は自宅からステーション都立大学への通勤時間はだいたい40分くらいかかりますが、女性専用車両を選んで乗ればそんなに満員になることはないので助かっています。

──そのご友人と会ったりもされるんですか?

Iさん:小まめに連絡をとっていますが、上京している友人のなかには看護師で新型コロナウイルスに感染した患者様の対応をしている子もいるので、今は気軽に会えないのが寂しいですね。もう少し感染の影響が落ち着いてから会えたらいいな、と思っています。

──では、上京にあたって楽しみなことはありましたか?

Iさん:やはり利便性の良さですね。食べ歩きが好きなので、新しいものをすぐ食べに行くことができるのは楽しいですね。

あとは、旅行に行きやすいというのが私のなかで一番の利便になります。看護師の友人には旅行好きな子が多く、お休みの前日である仕事終わりから深夜便を利用していろんなところに行っていました。でも、奄美大島に住んでいた頃は、一度福岡などの大きな都市を経由しなければいけませんでしたが、東京だと直接深夜便が出ているのですごく助かりますね。

ただ、これもコロナ禍の今では気軽に旅行に行くことが難しいので、人が少ない場所を選んでキャンプに行ってます。アウトドアも好きなので、旅行と上手く使い分けて楽しむことができていますね。

──地元が恋しくなることはありますか?

Iさん:東京のお料理は味付けがしょっぱいので、九州の甘い味付けが恋しくなりますね。奄美大島の海はすごくきれいなので、毎年夏に帰るようにしています。その時は釣りをしたり、素潜りをして自然を満喫しています。東京に住んでいると自然が少ないので、仕事の疲れを忘れさせてくれますね。

スキルアップして、地方に在宅医療をゆきわたらせる

──地方の出身でよかったと感じたことはありますか?

Iさん:日々の訪問看護の仕事では、お客様やステーションで働く人たちとの出会いや交流を楽しみに働いています。これまで奄美大島出身の人に出会ったことはありませんが、奄美大島は東京と飛行機の直行便があるので、行ったことがあるというお客様は多くいらっしゃいます。お客様との会話の中で、私が奄美大島出身であることを伝えると、奄美大島の話題で盛り上がります。こういったローカルな話題を提供したり、お客様と盛り上がることができるのも、地方出身者ならではだと思います。

──上京の理由に「最先端の情報や技術が集まる東京で学びたい」とありましたが、今の目標を教えてください。

Iさん:ステーションとして精神疾患の方にも訪問することができるようにしていきたいので、まずは「精神科訪問看護基本療養算定要件研修会」の参加を考えています。

在宅での関わりになるので、「皮膚・排泄ケア」や「緩和ケア」、「がん性疼痛看護」の認定看護師に興味があります。その辺りの知識や技術を身に付けていくことで視野が広がり、より良いケアをお客様に提供することができると考えています。

九州に住んでいた頃は、休日を利用して福岡のような大都市まで行かなければ参加したい勉強会がなかったり、資格取得の手続きができませんでした。しかし、東京であれば勉強会の開催頻度も多いですし、資格取得のための受験や手続きも比較的簡単に行くことができるので助かっています。

──最終的に地元に戻るご予定はありますか?

Iさん:去年の夏に祖母を看取る経験をしました。もともと訪問看護を利用していましたが、地方だとどうしても看護師さんの数や訪問看護ステーションの数が足りなくて、医療が必要な方々に行き届いていないという現状があります。

だから、東京での経験を通して訪問看護の知識・技術を磨いて、在宅医療が不足している地域にそれを届けていきたい、という目標が自分のなかにあります。

ソフィアメディでは、日本中に訪問看護ステーションを展開しているので、今後九州にも出店していくことがあれば、いつか働いてみたいと思っています。

[取材・編集・写真]岡田紘平 [写真]一部本人提供