生まれ育った静岡に在宅療養をゆきわたらせる、訪問看護新任管理者の抱負

生まれ育った静岡に在宅療養をゆきわたらせる、訪問看護新任管理者の抱負

ソフィアメディは「安心であたたかな在宅療養を日本中にゆきわたらせ、ひとりでも多くの方に、こころから満たされた人生を。」を掲げており、現在70の訪問看護ステーションを運営しています。そして、ステーションの数だけ様々なキャリアや個性、そして志をもった管理者がいます。

2021年12月に新規開設したステーション浜松中央。管理者を勤めるのは、静岡県で生まれ育ったAさん。訪問看護未経験ながらも訪問業務・管理者業務を並行して学ぶ日々。今回、新任管理者の抱負についてお答えいただきました。

(※記事の内容は2022年1月取材当時のものです)

<プロフィール>
■A.Tさん/看護師・管理者/ステーション浜松中央勤務
総合病院で循環器呼吸器科・精神科の経験を経て、神経難病専門の病院に転職。そこで、住み慣れたご自宅で最期を迎えることの重要さを改めて感じ、訪問看護の道を選択。2021年10月、ステーション浜松中央の管理者としてソフィアメディに入職。生まれ育った静岡に在宅療養をゆきわたらせるべく、日々管理者業務・訪問業務に奮闘中。趣味はサッカー鑑賞。好きなチームは清水エスパルスで、サポーター歴は20年以上と熱狂的。

看護師を目指すキッカケは曾祖母のお看取り

──Aさんが看護師を目指した経緯を聞かせてください。

Aさん:私は幼いころから曾祖母と一緒に暮らしていたのですが身体の調子があまりよくなくて。小学校低学年のときからご飯の介助をしたり、両親と一緒にオムツを変えたりしていました。

曾祖母が亡くなったとき、私のなかで「曾祖母のためにもう少しできることがあったのではないか」という不甲斐なさがありました。最期までその人らしく過ごしてもらいたい、と感じたので、専門的な知識をつけるために看護師を目指しました。

──その時から訪問看護で働くイメージはあったんですか?

Aさん:私はおじいちゃん・おばあちゃんっ子で育ったので、病院ではなく療養型の施設やグループホームのようなところで、ご高齢の方々とゆっくりした時間を一緒に過ごす医療や看護がしたいと思っていました。

それでも看護学校を卒業してからは、看護師として幅広い知識と経験を積むために、地元の総合病院に入職しました。1年目は循環器呼吸器科に配属となり、2年目からは精神科を担当していました。2年勤めてからは神経難病専門の病院に転職し、パーキンソン病やALSの方に多く関わらせていただきました。

訪問看護に来て再認識した、看護師を志した原体験

──病院から訪問看護の道を選ばれたのは何かキッカケがあったのでしょうか?

Aさん:神経難病の病院では、治療や療養のため長期入院をされている方がたくさんいらっしゃいました。そして、みなさん口を揃えておっしゃるのは「家に帰りたい」「最期は家で過ごしたい」というお言葉で、住み慣れたご自宅で過ごしたいという強い気持ちを感じました。

それと、「口からご飯を食べたい」という要望もすごく聞かれたのですが、医療処置やリスク管理の面から叶えることがなかなか難しくて、「誤嚥すると危険なので今は点滴なんですよ」とか「今はご飯を食べられないので絶食になります」としか答えることができませんでした。

治療を優先しなくてはいけないことはわかっているものの、「その方らしい最期って何だろう?」と自分の力不足を感じていました。

──Aさんが看護師を目指すキッカケと話された「曾祖母のためにもう少しできることがあったのではないか」という想いと似ていますね。

Aさん:私は高い目標ができると燃え上がるタイプなので、そういう不甲斐なさや力不足をバネにして次のステップに進むことができるのかもしれません。

そのようなことがあって、家でその方らしい生活をお手伝いすることができれば..という気持ちから、訪問看護で働きたいと思うようになりました。その中で、ソフィアメディのパンフレットやホームページで「生きるを看る」や「相手本位」という言葉を見て、自分のやりたい看護はこれだ!と共感しました。

──ちょうどそのタイミングで静岡県に新規ステーション開設のお話があったんですね

Aさん:自分の生まれ育った静岡県に新しいステーションができるということだったので、是非ともその一員になりたい!と思って、ソフィアメディへ入職させていただきました。

──地元ということで、どのような思い入れがありますか?

Aさん:浜松市は、まだまだ在宅療養の環境が整っていないという課題があります。平成30年静岡県人口動態統計が発表している報告では、『在宅での療養希望に対して7割以上の方が病院でお亡くなりになっている。浜松市の自宅でお亡くなりになる割合は、全国平均の12.8%と比べてわずかに低い11.9%という結果。』とされています。

ご本人、ご家族は住み慣れたご自宅で最期を迎えることを望まれているのに、その願いが叶えられていない現状を少しでも解決したい。今はそんな高い目標を自分のなかで持っています。

管理者業務と訪問業務の同時進行

──病院からの訪問看護ということですが、はじめはどのように仕事を覚えていかれたのですか?

Aさん:はじめは、訪問経験のあるスタッフに同行させてもらい、お客様に対する関わり方やご自宅への出入りの仕方、そして訪問看護ならではのアセスメントの仕方を教えてもらいました。

何度か同行を繰り返しながら基礎的な部分を覚えていきました。入職して3ヵ月経ちますが、まだまだ課題がたくさんありますね。管理者業務に追われてしまうと気持ちにも焦りが生まれてしまうので、落ち着いて訪問業務が行えるようにそれぞれのタスクを整理するように気をつけています。まずは目の前のお客様にしっかりと向き合いながら、管理者としてやるべきことは何か、を考えながら動けるようになりたいですね。

──訪問看護に来られて、今までと勝手が違うことがあるかと思いますが、その中でも1番大変だったことは何かありますか?

Aさん:やはり、医師がその場にいないということでしょうか。病院では医師が必ずいて、指示を出してくれたり、一報すれば来てくださりすぐに相談することができます。

訪問看護では、お客様の自宅に伺い、その場の状況を自分1人でアセスメントをして、その時に何をすべきか判断しなくてはいけません。はじめはそういうところにギャップや難しさを感じました。

──そういう時はどのように解決していますか?

Aさん:エリアプロデューサーや、他のステーションにいるベテラン看護師に相談をしながら解決しています。実際に訪問看護を長く経験されており、今でも現場で働いている方々にいつでも相談できる環境なので、今のところ看護業務の面で困ることもなく、とても安心して働くことができていますね。。

──それでは、今までの経験が訪問看護で活かせている、と感じる場面は何かありますか?

Aさん:神経難病を患う方とのコミュニケーションでは「相手のことを待つ」というのが重要になります。パーキンソン病やALSでは、声を出したり発音することが難しい、息が続かず言葉をつなげられない、小声になってしまうなど、コミュニケーションに障害をきたすことが多々あります。その際、相手の言葉を遮って「〇〇ですか?」と推測するのではなく、思っていることをすべて発言していただくまで待つ、ということを大切にしてきました。

その経験が今も活かせており、お客様の伝えたいことをゆっくり聞かせていただくなかで不安に対する共感ができているのではないかと思っています。

──そのような「傾聴」する姿勢は神経難病の方だけでなく、ソフィアメディの行動指針にもある「相手本位」に通じてきますね。

同じ目標を共有しながら歩むステーション

──ステーション浜松中央の強みを教えてください。

Aさん:現在、私を含むステーション浜松中央の看護師・理学療法士の3名と相談員、ステーション支援グループの看護師、西日本訪問看護事業本部長の計6名で運営をしているのですが、全員が「ステーション浜松中央を良いチームにしたい」という一つの目標に向かって日々取り組むことができています。

ステーションの人数自体は少ないのですが、目標が明確で全員のモチベーションや仕事に対する姿勢が統一できているように感じます。仕事や誰かに対してネガティブなイメージを持つこともなく、ステーションとしてはとても良い状況に感じますし、そこがステーション浜松中央の居心地の良さにつながっていると思っています。

──スタッフのモチベーションや居心地の良さを保つために、管理者としてどのような工夫をされていますか?

Aさん:ステーション浜松中央にはすごく頼れるエリアプロデューサー兼理学療法士のKさんがいます。私自身はまだまだ行き届かないところがあるのですが、、Kさんがリーダーシップを発揮してステーションの目標を定めたり、全員を引っ張ってくれています。

なので私の役割は、看護師のOさんの体調やモチベーションを気にかけながら、辛そうなときには「がんばろう」と励ますくらいです。「戦隊ヒーロー」でいうレッドがエリアプロデューサーのKさんだとすれば、私はブルーやグリーンのような感じ。

──それぞれが自分らしいリーダーシップを発揮することで、良いバランスを保ったチームになっているのかもしれませんね。

Aさん:私ができるリーダーシップは、コミュニケーションを円滑にするために全員の不安や不満を聞いてあげたりとか、相談しやすい雰囲気を作りながら全員が良い関係を保つことができるように働きかけることだと思っています。

──そのような心遣いはいつ頃から意識し始めたんですか?

Aさん:学生時代は野球部だったのですが、ホームランを打つほどの力がなかったので、足の速さを活かしたり、相手ピッチャーの癖を見つけるというような部分でチームに還元しようと思っていました。私自身、もともと表に立てないタイプなので、縁の下の力持ちというのが向いているのかもしれませんね。

──野球部での経験がAさんのリーダーシップやチームづくりにすごく通じていますね。

Aさん:目立たないけどチームの一員になれるとか、「Aがいないとチームが成り立たないよね」というのが、野球部の経験から来ているのかもしれませんね。

──では最後に、ステーション浜松中央をどのようなチームにしていきたいか教えてください。

Aさん:浜松市の課題として、住み慣れたご自宅で最期を迎えることができない方がまだまだたくさんいらっしゃいます。そのような方々から、「ソフィアメディなら看てくれる」と頼りにしてもらえるようなステーションにしたいと思っています。

そのためにも私たちはフットワークを活かした地域連携に取り組んでいます。ケアマネジャーさんや医療機関から何かお困りごとを伺えば、すぐに日程調整をして直接お客様の状態を確認するようにしています。

訪問看護の指示書は普段、郵送やFAXで医師とやり取りをするのですが、緊急度が高く急いで訪問看護のサービスを開始しなければいけない場合には直接医師のところに伺い、手渡しで指示書のやり取りをすることもあります。

訪問看護を必要としてくださっているお客様に対して、いかに早くサービスを届けることができるかが重要だと思っています。優先順位を考えながら目の前のお客様にしっかりと向き合い、「その方らしさ」を大切にした看護ができればと思っています。