作業療法士の持てる力を全部費やし、在宅生活に向き合う

作業療法士の持てる力を全部費やし、在宅生活に向き合う

ソフィアメディは今、約10,000人のお客様とおつきあいがあります。10,000通りの「生きる」があり、10,000通りの「看る」があります。ソフィアメディのスタッフは“「生きる」を看る。”をどう捉え、お客様と接しているのでしょうか?それぞれの訪問看護に対する想いをご紹介します。

※こちらは2020年2月発行の社内報内インタビューを転載したものです。

〈今回私の“「生きる」を看る。”を話してくれた人〉

ステーション成城 作業療法士

Y.Kさん

「作業」とは生きる人が経験するすべてのこと

自分にとって英知を尽くして”「生きる」を看る”とは、その時の自分の持てる力を全部費やすことと思っています。

あるお客様は進行性疾患の影響で、失語症や構成障害、左半側空間無視などの多彩な高次脳機能障害をお持ちでした。

当初のご希望は字を書きたいということでした。ご希望通り、字を書くという課題に取り組みながら、そこだけにフォーカスし過ぎずにリハビリをしてきました。書字だけに向き合っていたら症状の進行もあり生活のしづらさは増します。お客様の幸福度は上がらないのです。書字以外の問題として、仕事ができなくなってから無為に過ごすことが苦になっていらっしゃるということがありました。

新しい生活スタイルを提供するため、ケアマネージャーさんと一日の過ごし方をコーディネートしてきました。

ご家族(妻)様はデイサービスに通う提案に躊躇されていましたが、様々な場面や機会に参加をすることの重要性を説明し、ご本人様が参加しやすい環境のデイサービスを提案することでご理解いただきました。一年かけて随分活動範囲が広がりました。

今ではデイサービスのお仲間と山登りに行かれたり、ボランティア団体を発足し社会貢献活動をされたりしています。今までできていたことをしたいというご希望に寄り添いながら、ご本人様に適した別の経験ができるようご提案したことで、病気の進行はあるのですが、非常に笑顔や発話量が増えました。

作業療法士の仕事は幅広く、他職種の方やお客様には理解されづらいことが多いです。

2018年5月に作業療法の定義(日本作業療法士協会)が新しくなり、『作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す』となりました。

言い換えると人が経験する全てが作業にあたります。その作業のしづらさを解消するのが作業療法士です。

特に在宅ではご本人様の生活しづらさは勿論、ご家族様も一緒に生活しづらくなっていることが多いです。ご家族の状況も含めて評価し、お客様が少しでも前向きな人生を送ることができるよう、お客様にとっての作業の意味を大切にして関わるようにしています。

ただ、悩みも多いです。社内での勉強会などで発表してアドバイスをもらったりしています。ソフィアには「作業」が大事だよね! とわかりあえている仲間がいるので、そんな仲間との繋がりも大切にしていきたいと思っています。