答えはひとつじゃない

ソフィアメディは今、約10,000人のお客様とおつきあいがあります。10,000通りの「生きる」があり、10,000通りの「看る」があります。ソフィアメディのスタッフは“「生きる」を看る。”をどう捉え、お客様と接しているのでしょうか?それぞれの訪問看護に対する想いをご紹介します。

※こちらは2019年10月発行の社内報内インタビューを転載したものです。

〈今回私の“「生きる」を看る。”を話してくれた人〉

静岡エリア エリアプロデューサー(取材当時:ステーション千種 理学療法士)

K.Rさん

「意思決定」と医療従事者の使命の間で格闘する

学生時代、デイケアでインターンとして働いていたとき、担当しているお客様のご自宅を訪問する機会がありました。

 

ご自宅では、デイケアで見たことのないようなイキイキした表情や行動をされていることに驚きました。

必ずしも指示されたことを守れているわけではないのですが、工夫してその方らしく生活されているんですよね。このリアルな世界を知らなければ、病院でやっていることは意味がなくなってしまうんじゃないかと思ったのが訪問リハビリとの出会いでした。

 

その時にはまだ漠然としていた“「生きる」を看る。” の意味するところについて、自分なりに考えを深めたのは大学病院に勤めているときでした。

 

その時、学会で「意思決定とパターナリズム」をテーマにした発表を聴きました。パターナリズムを訪問看護でいうと、お客様の意思は問わず、スタッフがこうすべきと考える介入をすることをいいます。

 

発表を聞いて、医療の現場では、お客様の意思を尊重することと自分の考えとが重なり合わないと感じることも多々あるけれど、このジレンマはセラピストも看護師も、全ての医療従事者が常に考え続けなくてはいけないことだと感じました。

ソフィアの「お客様本位」という言葉には、意思決定の大切さについての想いが込められていると思います。そこに共感して入社を決めることになりました。

 

理学療法士の局面でいうと、今は多機能の下肢装具が増えていますが、装着するのが大変だったり、見た目が大仰だったりして、ご本人が嫌がられることがあります。好きな靴が履けない、好きな服が着られないということもあります。。

でも現実には、もう転びたくない、入院して周りに迷惑をかけたくないという思いが強いので、仕方なく装具をつける方もいらっしゃいます。

 

でも、私はお客様には見た目にこだわる気持ちも諦めないでほしいと思います。

だから、そういうときは、医師やチームに相談して、装具を付けていても身に着けられる靴や服をいくつか探して、価格帯ごとに提案したりもしています。

お客様が重要と感じていることに対して、寄り添って、より良い選択肢を提供したい。できる限りの力を尽くしたい。そのためには、常に広い視野をもっていたいと思っています。

 

パターナリズムと意思決定の線引きは難しくて、正解はひとつじゃない。

これが正解だという確固としたものを敢えて持たず、ご本人様のためにどんなことが提供できるのか、常に模索し続けながら働くことが、“「生きる」を看る。” ということなのかなと思います。

これからも、医療職である限り、もやもやと悩み、考え続けたいですね。